ささいなことなのに気付いてくれていたのか、と驚いたけれど
そうです。と肯定するのは気が引けてしまった。

もごもごと言い淀んでいると
「それに」と柔らかな言葉が頭上から零される

「初めて会った僕にコーヒーを淹れてくれたり、ずっと気を遣ってくれてます。

外国では男性が女性に尽くすのが基本なので、驚きました。

だから麻友子さんは謙虚で優しい、日本人らしい女性です」


――…もしかして、

さっきのフォローは
そういう意味…?


そんなふうに考えたら、途端に
胸の端が、じわじわと あまく染まってゆくのを感じて

わたしは彼から逃げるように、そっと視線を外した。