「あんなに美味しく作れるのに…?」 「そんな、全然ですよ。それにお鍋なら誰だって美味しく作れます」 軽く首を横に振ると、沈黙が降りてきて 「それは…、違うと思います」 「え?」 ふっ、と静かな声のトーンが わたしを包んだ。 「母が言ってました。料理は作る人の好みではなく、食べてもらう人の好みの味にしなければ、と。 麻友子さんの作ったご飯は、お店で食べるより、ずっと食べやすくて美味しかったです。 きっと僕のこと考えて作ってくれた…違いますか?」