恋とは停電した世界のようです


実際のところ、外国の味付けがどんなものかよく分からなかったけれど
いつもより少し濃いめを意識したつもりだった。

ドキドキしながら彼の反応を窺っていると
くたくたになった白ネギに、思いきり目尻をほころばせる彼の顔が見えた。

「コレ…とても美味しいです!」

「ほっ、ほんと?」

「ハイ。僕の好きな味」

「…良かった」

はぁー…と肩の力が抜けて、視線が膝の上をすべる。

「麻友子さんは良い奥サンになれますね」

「へっ!?」

「なーに言ってんだよ。それにコイツまだ17だから、そんなの分かんねぇよ」

「…そうなんですか?」

「はぁ、まぁ…」

ふっと驚いたように青色の瞳が揺れて
その中には、ぼんやりとした表情の私が映し出されていた。

「落ち着いて見えたので、もう少し上かと思ってました」

「ただ単に地味なだけだろ」

兄の言葉に多少ムッとしながらも
反論できないでいると

「麻友子さんは日本人らしくて素敵です」

思わず、当たり前だと言いたくなる妙なフォローを貰い、
左胸を複雑な気持ちに塗られた。