次の日、私は少し複雑な気持ちで、前を歩く人たちを見ていた。

「向井、昨日の○○観た?」

「観た観た!めっちゃ面白かったよなっ!」

ズキン…胸が痛い。なんで…だろう。

「おはよ〜!」

そう言って近付いて来たのは夏希ちゃん。今日も元気だなぁ…

「おはよう。今日も元気だねぇー」

手を振りながら夏希ちゃんに抱き着いた。なんだか凄く…長い時間会っていないような気がしたから。寂しくなったから。

「えっ!永久ちゃん?」

夏希ちゃんは凄く焦っていながらも私の事を抱きしめ返してくれた。

「夏希ちゃん…私…」

あぁ…まただ。先輩のこと考えると、涙がでてくる。

「えっ!永久ちゃん!?どうしたの…?」

夏希ちゃんは困ったように笑いかけてくれた。

「ごめ…私…胸が痛いの。」

ポロポロと目から落ちる雫は止まる気配が無かった。

「どうして?何かあったならあたしに話して?親友…だから。」

その言葉を聞いて私の何かが壊れた。もう止まらない。

「あ…アレ。」

そう言って先輩と女の子を指差した。

「アレって…向井先輩、だっけ?あと…あ、穂乃花先輩だ。」

穂乃花先輩…か。愛輝先輩の彼女かな?そうだよね。愛輝先輩、カッコイイもんね。

「…私っ!先輩と他の子が仲良くしてるの見たくない…っ!」

夏希ちゃんはハハーン…とニヤニヤし始めた。

「そっか、そっかぁ。永久ちゃん、先輩の事、好きなんだねぇ。」

!?夏希ちゃんったら何てことを!

「えぇー!?そ、そんなんじゃないってばぁ…!」

きっと顔が真っ赤なんだろう…これじゃそうだって言ってるようなもんじゃない。

「そんな紅い顔で言っても説得力ないぞ?」

やっぱり…これは認めるしかないか。

「うーん。そうかも……」

プイッとそっぽを向いて言った。