「…あっ!ありがとう!えと、私行ってくるね。」

「あ、うん。いってらー」

なんだろう。なんで、わざわざここまで…

「先輩っ!?どうしたんですか?」

「あっ!ねぇ!天寺さんってモデルだって本当?」

あ、天寺さん…か。って!会って間もないんだし当たり前だよね!

「は、はい…実はそうなんです。」

えへへ、とちょっと照れながら言った。

「やっぱり!!もう、学年中っていうか、学校中その話で持ちきりだよ!?」

「えぇ!?そんなにですか?」

ただ«Rabbit»っていう雑誌のモデルをやってるだけであって、特に目立たないとは思ってたけど…。

「うん!だって、その雑誌のトップなんでしょ?本当凄いよー!」

トップ…か…。

「そこまで騒ぐ程じゃ…無いです…」

よくわからないけど、泣きそう。

「…天…永久ちゃん?大丈夫?」

え、今、永久ちゃんって…先輩の顔を見ると真っ赤。

「せ、先輩っ!?ななななんでっ!」

「…だって。永久ちゃん俺の事…先輩って…」

あ、そっか。私…ずっと先輩のこと先輩って呼んでたんだ。

「ごめんなさい。えっと…あ、愛輝先輩っ…!」

先輩も、きっと私も…真っ赤な顔してるんだろうな。

「…ソロソロ時間だから。またね。永久ちゃん…」

「はいっ、また!」

私は先輩が去っていくのをただ、ひたすら、見つめ続けた。