なんで変われないんだろう、って。

ーガチャ!

「ふぇっ!?」

いきなりドアが開きびっくりした。

そこに居るのはお母さんだった。

「時間だよ。何回もノックしたのに返事ないから入っちゃった♪」

「ごめーん!でもびっくりしたよー!」

時計を見ると7時40分。

私の家から徒歩で30分のところに学校はある。

ちょっと早めだけど、入学式だし!

「お母さんありがと!いってきまーす!」

元気よくドア開け、記念すべき第一歩を踏み出す。

と、ここで盛大につまずき体が浮いた。

マズイ。このままじゃ顔面強打だよ~!

目を瞑って身構える…が、

「い、たくない…?」

っていうか誰かに支えてもらってる?

「…だ、大丈夫?かなり派手につまずいたけど…。」

顔を上げて驚いた。

大きい……第一印象はこれ。

「あ…ありがとうございますっ!」

ペコリと、頭を下げる。

「俺、2年の向井愛輝。同じ学校だよね?あ、もしかして新入生?」

ニコリと笑いながら話しかけてくれた彼に、私の胸は高鳴った。

「はい。えぇっと、私っ!天寺永久です!本当にありがとうございました!」

よろしく、と手を差し出される。

こ、これはどうすれば…

「あっ!ごめん!嫌だったよね!」

焦りながら言う彼に私は

「いえっ!こちらこそよろしくお願いします!」

ギュッとその手を握りしめた。

ニコッと笑いかけると先輩も微笑んで、

「一緒に行こうよ。」

と、言ってくれた。

先輩の顔を見るとなぜだか顔が熱くなる。体中の熱が顔に集まってくるのがわかる。

「は、はいっ!」

私は返事をしながら先輩の背中を追いかけた。