「何お前、1人なん?」

そんな時だった。あこがれの先輩が、声をかけてくれたのは。
その日は同じ学年の人にバンド組もうって誘ったけどフラれて、なんとなく屋上で黄昏ていたのだ。

なぜ、ひとりだと思ったのか。
なぜ、あこがれの先輩が目の前にいるのか。

一瞬にしてパニックになり、声が出なかった。
何も言えなかった。
この時ばかりは自分の表情筋を褒めたい。ポーカーフェイスでパニックになっていたのはバレなかった。

「おーい。聞こえてる?」
「…………なんですか。」
「お、聞こえてんじゃん。」
「…………。」