「なんだ遠藤、いたのか。」

屋上の扉が開き、帰ったはずの先輩の顔がのぞく。
その手には近所のケーキ屋さんの箱。
私の好きなケーキ屋さんだ。偶然か、はたまた、必然か。
呼び出す手間が省けたな。なんてつぶやいたのは遠藤の耳には入らなかった。

「……なんでいるんです」
「いちゃわるいか?」
「別に……。」

なんとなく気まづくなる。少し期待していた分だけ嬉しさは増すが、いてはいけないような気もしたから。