一人、公園に残された卓也は空を見上げる。そこには真ん丸な月が堂々と光り輝いていた。

『なんでだよ…』

卓也は眉間を手で押さえて言った。久美の行動が分からなかったのだ。目をつぶると一粒の涙が卓也の頬をつたった。

卓也の瞼にいろいろな思い出が映し出される。目を開けば、あの頃に戻れる気がした。でも、現実には、隣に久美の姿はない。楽しかった思い出ばかりが蘇る。

そして、最後に映し出されたのは楽しそうに笑う、ひまわり園の園児たちの姿だった。卓也はベンチから立ち上がり軽く伸びをした。

『落ち込んでる場合じゃない。俺に出来る事をやろう。』

卓也はパンパンと頬を叩き、公園を後にした。