『やっぱうめーな。』

『うん。』

二人はパンを食べながら、思い出に浸った。まるで、あの頃に戻ったようだった。草木が揺れる音に耳を澄ませながら、沈黙というデートを楽しんだ。

もう卓也に迷いは無かった。傷つく事を恐れ、小さなプライドにしがみついて何をしていたんだろうと思った。

『こないだは、本当にありがとう。』

『うん。』

『まだ、ちゃんとお礼が言えてなかったから。』

『いいよ。そんなの。』

『今は何事もなく過ごしてるよ。』

『そっか。』

『ふふふ、なんかこうやって話してると、昔に戻ったみたいだね。』

『そうだな。』

『今、同じ事…考えてるかな。』

『だろうね。』

『じゃあ、ちゃんと伝えなきゃね。』

『うん。』