あれから数週間が経った。すっかり季節は冬を迎えようとしていた。この日、沙也加から池ノ内公園に来いと言われていた卓也は渋々、公園へと向かっていた。夏と違い仕事が終わるとすっかり夜だった。卓也は公園に向かう途中、面倒くさそうに溜息を吐いた。どうせ話の内容は決まっている。

《一度、久美と会えば良いのに》

あの件が終わって、久美が何度もお礼が言いたいと沙也加を通じて言ってきているのを知っていた。それでも、卓也は頑なに会うのを拒否していた。それは久美の為でもあったが、自分自身の歯止めが効かなくなると思ったのだ。

この数週間、沙也加からも歩美先生からも、何度も背中を押されていたが、どうにも踏ん切りがつかないでいた。