何気ない日常会話を済ませた後、沙也加の表情が曇る。卓也は瞬時にその空気を察知した。

『で、何か話があるんだろ?』

卓也は真剣な眼差しで沙也加を見つめる。沙也加は俯いて何か悩んでいるように見えた。それは言うべきか言わないべきかだった。それでも沙也加は意を決したように口を開く。

『久美の事なの…』

その一言で卓也の表情が変わる。次の言葉を待てなかった。

『な、なに?久美がどうした!?』

卓也は気づくと沙也加の両腕を掴んでいた。沙也加は卓也の真剣な眼差しに圧倒され、この数ヶ月の久美の事を伝えた。

彼氏が出来た事。でも、誰にも紹介しない事。連絡がほとんど取れない事。定期的に帰ってきてたのに、帰ってこなくなった事。1番の親友である沙也加にすら、何か言えないような事があること。

沙也加は何かおかしいと思い、先週の日曜日に久美のマンションを突然訪問した。その時、全ての点が線へと繋がった。