卓也は、犬山町の保育園で勤め始めていた。こじんまりとした小さな保育園だ。先生は、園長を含めて5人ほどだった。したがって子供達の数もそんなに多くはなかった。それでも、地元からの評判は凄く良いものだった。それが、卓也の決め手となったのだ。利益よりも遣り甲斐を優先させたかったのだ。毎日、子供達と触れ合い、色々な事を学ばせてもらっている。卓也にとって申し分ない日々を過ごしていた。

今日も保育園に出勤する。朝、7:00のバスに乗って、二つ隣のバス停で降りる。そこから歩いて5分の住宅地のど真ん中に園はある。園に着くと続々と子供達が預けられていく。笑顔で見送る子供、泣きながら母親に手を振る子供、グラウンドの遊具に一目散に走っていく子供。本当に色々な感性を持っている事に驚かされる。

そんな感じで卓也の1日は始まっていく。