「そうやって、思ったことをちゃんと言わないから、こんなことになるのよ。ガラスを割ったのだって…」
「修理費の心配でしょ。いつか返しますよ」
「汐里!」
言い争っていたら看護士さんが来て、診察室に呼ばれた。
車いすに乗ったわたしの後をお母さんがついてくる。
診察室に入ると、50代くらいの、ベテランそうな先生が、こちらを見て柔らかく微笑んだ。
「こんにちは、岩本汐里さん。気分はどうですか?」
「まあまあです」
適当に返すと、その先生は自分の椅子をくるりとまわして、レントゲン写真を数枚、ボードに張りつけた。

