「何でもない」 「なーにー」 「何でもないってば」 わたしなんかよりも桃佳のほうがずっと可愛い。 「そんなことよりさ、あの看護士さん」 「吉原さん?」 「そう。いい人だね」 「うん、優しいよ。吉原さんは人気者」 そう言われて、なんとなく気分が落ちる。 誰にでも優しいんだよね。だって、看護士さんだもん。 わたしにだけ優しいわけじゃない。 ……なにがっかりしてんの、わたし。当たり前のことじゃない。