「汐里ちゃん、軽すぎー」 「離してよ…」 「離したら落っこちるよ」 「……」 顔が熱い。 吉原さんに見られたくなくて、その胸にぎゅっと顔を埋めた。 トクン、トクンと吉原さんの鼓動を感じる。 あったかい。 下からちらっと、吉原さんの顔をのぞき見る。 相変わらずマスクをしていて顔半分見えないけど、 わたしの好きな優しい瞳は、まっすぐに前を向いている。 『好きな?』 まさかね。