今はつらくてもきっと時がそれを解決してくれる。 初めてそう前向きに思えた。 吉原さんは、わたしを『大切な人』だと言ってくれた。 運命がわたしを導いてくれたのなら、わたしはこの出会いを大切にしたい。 「そろそろ病室に帰ろう?」 わたしは頷く。 「…わっ」 吉原さんは鮮やかな手つきで、わたしを抱きあげた。 「姫、部屋に帰りますよ」 鼻をくすぐる、清潔な白衣の匂い。