吉原さんは弱々しく微笑んだ。
「僕も、本当は、汐里ちゃんのこと、初めて会った時から気になってた。僕を見て泣いた君が純粋で。すごく綺麗な涙だと思った」
風がふたりの間をすり抜ける。
「本当は、どうしようもなく汐里ちゃんが可愛くて仕方なくて、惹かれてた」
吉原さんはそこで言葉を止める。
「でも、僕はもう、誰のことも幸せにできる自信がないんだ」
「のんちゃんのことを言ってるの?」
「うん。それから、別れた奥さんのこともね。のんが死んでから喧嘩ばかりするようになって…。結局うまくいかなくなってしまった」
吉原さんは、奥さんのことも不幸にしてしまったって、そう思ってるんだ。
「のんちゃんが亡くなったのも、奥さんとうまくいかなくなったのも、吉原さんのせいじゃない」

