中庭に行くと、人影があった。 吉原さんがもう先に来ていた。 満開を迎えた桜の木の下、吉原さんがひとりで立っていた。 あの頃長めだった髪の毛をバッサリと切り、まるで少年のようになってしまっていた。 勤務が終わったからか、マスクもしていない。 少し痩せたかな? 吉原さんはわたしに気づくと、微笑みながら手をあげた。 「久しぶり、汐里ちゃん」 わたしは吉原さんのもとに駆け寄る。 「吉原さん、会いたかった」 「髪、伸びたね」 「うん」 吉原さんが長い髪が好きだっていうからずっと切れずにいた。