「お母さん、わがまま言ってごめんね」
「まったく…お父さんに怒られても知らないわよ」
「説得する」
わたしは、ねこを連れ帰ってきてしまったのだ。
桃佳がいなくなった今、ねこはひとりぼっちだ。
もちろん、毎日会うことで情が移ってしまったというのもある。
ねこは小さな声でニャ~となくとわたしの頬をなめた。
自分の部屋に1カ月ぶりに入る。
懐かしい匂いに安心するとともに、言いようのない寂しさが襲ってきた。
桃佳もいない、吉原さんもいない。
これが日常だ。
これからが現実だ。
わたしは学校に行く。
そう決意を固めていた。