退院は明後日。 吉原さんが夜勤の挨拶に回ってきた。 「汐里ちゃん、夜勤でーす。よろしくぅ」 ふたりでハイタッチをする。 あの屋上での出来事がまるでなかったかのように、吉原さんはいつもの吉原さんに戻っていた。 桃佳のベッドには、小1の女の子が新しく入院してきていた。 時は残酷に流れてゆくもの。 いつかわたしと桃佳との思い出も薄れていってしまうのだろうか。 「明後日だね、退院」 「うん、おかげさまで」 「汐里ちゃんはこう見えて、手のかかる患者だったからなぁ」 「何を言う」 ふたりで笑う。