吉原さんが夜勤明けで帰らなかったのは、奥さんが来る予定だったからなんだな。 自分のベッドに座って考えを巡らせる。 『僕、つらいことがあるとよくここに来るんだ』 あの言葉を思い出す。 ひょっとして……。 わたしは立ち上がると走り出す。 「こら!岩本さん、廊下は走らない!」 婦長さんに怒られるが足は止まらなかった。 エレベーターに乗って、最上階へ。 また階段を上る。 ……屋上。 汗ばんだ手でドアノブをゆっくりと回す。 ドアは、開いた。