その時、看護士さんとばちっと目があった。
「あ、おきた」
柔らかな声が、明るい調子で降ってくる。
「わかる?ここ病院だよ」
病院……。
わたし、どうしたんだっけ?
眠くて考えがまとまらない。
ゆっくりと頭を動かす。
私が寝ているベッドはクリーム色のカーテンで仕切られている。
「起こしちゃたね、ごめんね」
看護士さんがわたしの頭を優しく撫でた。
20代後半くらいだろうか。
髪はちょっと長めで、マスクをしている。
その目はとても優しそうで。
その柔らかな声とまなざしに、言いようのない安心感が胸の中に広がる。