「桃佳はね、もう自分が長く生きられないということを知ってたと思う」
吉原さんは泣きじゃくるわたしを抱いて部屋に連れてきてくれた。
「みんな自分をおいて退院しちゃって、とうとう最近はこの部屋でひとりになっちゃって、桃佳は笑うことをしなくなった」
吉原さんが冷やしたタオルを目の上に乗せてくれた。
ひんやりして気持ちがいい。
「それがね、汐里ちゃんと出会って、笑顔を取り戻したんだよ」
「わたしと出会って?」
「そう。桃佳と最後まで一緒にいてくれて、ありがとうね。
僕は小児科から内科に移ってきてからの桃佳を知ってるから、
最後に汐里ちゃんと出会えて楽しい毎日が過ごせて、
本当によかったなって、思うんだ」

