夏だっていうのに、急に寒くなって、自分の腕を自分で抱えて、座りこんだ。 「寒いよ…桃佳」 眩暈と吐き気が襲ってくる。 桃佳の嘘つき。 大丈夫って言ったのに。 お見舞いに毎日来るはずだったのに。 ひとりで遠くに行かないでよ。 その時、誰かが後ろからわたしの肩を抱いた。 振り返ると吉原さんだった。 この人は、わたしが会いたいと思うときにいつも現れる。 片膝を立てて、わたしの肩を抱く彼が言う。 「泣いても、いいんだよ」