「んー、やっぱ長いこと一緒にいたから、家族を失ったみたいな、そんな感じ?」
吉原さんがわたしの頭を自分の胸に引き寄せる。
「吉原…さん?」
白衣に移った消毒の匂い。
規則正しい心臓の音。
「泣いてもいいよ。僕の胸貸すから」
複雑に絡まった胸の中のかなしみみたいなものが溢れだしてきて、わたしは吉原さんにしがみついた。
「泣かないよ」
「どうして?大好きだったんでしょう?」
「過去のことだから。今はもう修司のことが好きなわけじゃないから」
吉原さんは体を離すとわたしの顔を見た。
「……汐里ちゃん、本当に強くなったね」
吉原さんは優しく微笑む。

