「わっ」 そして思いきり声の主に抱きついた。 「……吉原さん、大好き」 「どうしたの?何かあった?」 わたしは吉原さんの胸に顔を埋めたまま首を横に振る。 「汐里ちゃん、先、病室帰ってるね」 という桃佳の声を聞きながら、わたしはなおも離れず吉原さんのぬくもりを感じ続けた。 わたしと吉原さんは中庭に出た。 なんだか感傷的になってしまっているのは、さっき修司に別れを切り出したせいだろうか。 木陰のベンチにふたりで座る。 ツクツクホウシが鳴いている。 夏も終わりに近づいてきているんだな。