桃佳はいったい何人、病院から退院していく人を見送ったのだろう。
自分だけ退院できずに取り残されて。
つらいよね。
それなのにわたしは、吉原さんに会えなくなるから退院したくないと思っている。
桃佳は、こんな窮屈な病院を退院して『女子高生』になりたいんだろうな。
「あ、汐里ちゃん」
桃佳が振り返って、ふわんと笑った。
その顔には寂しさは微塵も感じられなくて。
今まで、わたしの前では、寂しい気持ちを隠して明るくふるまっていたのかな。
胸がズキッと痛む。
「プリン、プリン~♪」
桃佳はベッドから立ち上がると、嬉しそうに近寄ってくる。

