なんて真剣に考えていたのに、風邪薬を飲んだせいか眠ってしまい目を覚ますとすっかり暗くなっていた。
結構寝てたんだな。お陰で随分気分も良くなったし、お昼はおかゆだけだったからお腹も空いた。起きるか……
1階に下りて店を覗くと、父親が夕方の書き入れ時で忙しそうにしてたので声は掛けず、キッチンに向かう。
何か食べる物はないかと冷蔵庫を物色してたら玄関のチャイムが鳴った。
「はーい、今、出まーす」
この時間ならどうせ商店街の人だろうと、気にせずパジャマ姿のまま玄関の扉を開けたんだけど……
「えっ……どうして?」
「あれ?もう起きて大丈夫なの?」
「う……そ」
「やっぱり、蛍子の事が心配で来ちゃったよ。それに、お父さんにも早くお会いしたかったからね」
ニッコリ笑う雅人さんに、私は滝汗ダーダー。
「あ、ごめんなさい……父は留守でして……」
「えっ?今、お店の方で挨拶させてもらったんだけど……中に入って待っててくれって言われたよ」
うわっ!既に挨拶済み?これはマズい事になった。
すっかり舞い上がってしまい頭の中は真っ白。アタフタと部屋を片付け、震える手をお茶を出す。
どうしよう……父親が来る前に私の口から一輝の事を言っといた方がいいよね。でも、まだ心の準備か出来てなくて、何から話していいのか分からない。
そうこうしてると、父親がムスッとした顔で現れ、無言で私達の前に座った。
愛想良く挨拶をする雅人さんを眼光鋭く睨み付けてる父親。不穏な空気が流れる。