一輝に振られた今、彼が何をしようとしてるのかなんて、知ったところでどうしようもない。


「ヤダ~蛍子先輩、テンション低過ぎ~どうしちゃったんですか?」

「えっ、うん……楓ちゃんには、色々心配してもらって悪いんだけど、もう私と一輝はダメだから……」


手短に一輝のマンションでの出来事を話し、大きなため息を付く。


「はぁ~?マジですかぁー!新田係長が斎藤次長のマンションに?最悪~」


うん、ホント最悪だ……


「新田係長に一輝と付き合ってるって言われた時は、まだ半信半疑だったけど、もう間違いない。だから、いいの」

「そんなぁ……斎藤次長の事、諦めちゃうんですか?」


楓ちゃんまでどんより沈んだ顔をしてため息を付いている。


一気に場がシラけてしまい、なんだか楓ちゃんに申し訳なくて、明るい話しでもしようと話題を変えた。


「それより、楓ちゃんは奥田主任と結婚したら仕事はどうするの?」

「えっ?仕事ですか?そうですね……まだ迷ってるんですけど、取り合えず、もう暫く続けようかな~って思ってます」

「そっか~良かった。楓ちゃん辞めないんだね。あ、でも、楓ちゃんが仕事を続けても、結婚したらどちらかが異動になるから楓ちゃんとは離れちゃうかもしれないんだ……」


アクセスで一番仲のいい楓ちゃんと離れちゃったら寂しくなるな……と再びため息を付くと、楓ちゃんが不思議そうな顔でポカンとしてる。


「どちらかが異動って……なんですか?ソレ」

「楓ちゃんも知らなかったの?同じ部の人同士が結婚したら、どちらかが異動しなきゃいけないっていう業務規定」


楓ちゃんはプルプルと首を振り、奥田主任にもそんな事言われてないと怪訝な顔をする。