私には、どうしてもママに伝えなくちゃいけない事があったんだ。


俯いて顔を隠しながら、父親と結婚してと欲しいと頭を下げる。


「えっ?」


今朝まであんなに反抗的だった私が、急にそんな事を言い出したからだろう。さすがのママも戸惑いを隠せないって感じだ。


「私の結婚なんて待ってなくていいよ……ママは父さんと結婚して」


でも、ママは父親が言っていた通り、私と一輝が結婚したのを見届けてからじゃないと籍は入れないと譲らない。


「どうして?私がいいって言ってるんだから遠慮しないで」


それでもママは首を縦には振らなかった。


「私はね、蛍子ちゃんと一輝が結婚するって聞いて、俊ちゃんと一緒になろうと決めたの」

「別に、どっちが先でもいいじゃない」


ムキになって食い下がると「蛍子ちゃんが先じゃないとダメなのよ……」って、ママが目を伏せる。


「私達が先に結婚したら、蛍子ちゃんは私の娘になっちゃうでしょ?

蛍子ちゃんには、俊ちゃんと亡くなった奥さん、ふたりの娘として結婚して欲しいの。それが、蛍子ちゃんの成長を見る事なく亡くなった奥さんへの私のせめてもの気持ち。

そうすれば、蛍子ちゃんのお母さんも、私と俊ちゃんの事、認めてくれるんじゃないかなって思ってね」

「ママ……そんな事考えてたの?」


そこまで私と死んだ母さんを大切に思ってくれてたなんて……ママの気持ちは凄く嬉しかった。でも、私と一輝はもう……