自分勝手な理由で離婚を切り出した私を、10年後の今も一輝は変わらず好きだと言ってくれる。彼ほどの男なら、いくらでも女が寄ってくるはず。なのに、どうして私なんだろう……


それに私達は大恋愛の末結婚したワケじゃない。お互い意識はしてたかもしれないけど、父親のごり押しで結婚したに過ぎない。


それなのに、なぜ……


バスローブを羽織りベットに座る一輝の姿を複雑な気持ちで眺めていたら、私に気付いた一輝が切れ長の目を細め「来いよ」って、自分の横を指差した。


素直に頷き彼の隣に腰を下ろすと、伸びて来た一輝の手が私の襟元の濡れた後れ毛を指に絡め、懐かしそうに呟く。


「10年ぶりだな……ホタル……」


逞しい一輝の胸は10年前と全然違っていて、まるで別人に抱かれている様だった。そう思った時、私はどうなんだろうと不安になった。


19歳だった私しか知らない一輝が、29歳の私を抱いてどう思うか……確実に年を重ねた私に、あの頃の若さはない。


「幻滅するかもよ……」


先に自分を卑下する様な事を言って、一輝が落胆した時の言い訳にしようとしていた。要するに、守りに入っていたんだ。


けど、一輝は何も言わず私の首筋に唇を這わせ、肌蹴たバスローブの中にゆっくり手を滑り込ませる。


そのままゆっくりベットに横になり、甘くトロける様なキス。その長いキスの後、私の着ていたバスロープは床に投げ捨てられた―――