グイッ


肩を掴まれ、そのまま強引に振り返させられる。

視界に佐田君の顔が映った瞬間、僕は佐田君にキスされた。


触れるだけの、キスを。


「ん………、」

少しして唇を離すと、佐田君は僕を抱きしめた。


「俺をなめんなよ、冬夜。

俺がホモと友達だからって離れていくようなヤツと友達になると思うか?

なるわけねぇだろ、むしろゴメンだね。

俺がホモだと思われようと、そんなの俺の勝手だろ。

周りがどうこう言っても俺は気にしないし、それこそどうでもいいわ。

でもな、俺冬夜が落ち込んでるの、ほっとけねぇんだわ。」

「どうして…」

「…恩返し、だよ。」

恩、返し…?
僕なにも、なにも佐田君にしてあげてない。

「覚えてねぇかな。
俺、親が離婚して腐ってた時期あったろ。

そんときお前が俺に言った一言で、俺は救われたんだ。

『寂しいなら、2人で泣こう。
独りで泣くより、2人で泣いた方がスッキリするんだよ!』

ってな。」

あ…
それって、佐田君が一昨日僕に言ってくれた…