「どうして…」

「んー?
どうしてって、そりゃ俺がここの学生だからだけど?」

「ここの…学生?」

「そ。俺保育学科。
んで、お前も保育学科。」

そうだけど、なんで知って…

「講義の時見かけてさ~!
なんか後ろの隅っこで真面目に授業聞いてるヤツいるなーと思ったら冬夜だったってわけ!」

いやいやどんなわけなんだ…!
だいたい目立ちもしないのにどうして僕を見つけたんだよ…。

「俺前の方にいたんだけど気付かなかった?」

もしかして、あのうるさい人たちの中にいたのかな…

前の方なのに授業聞いてないのバレバレで馬鹿だなぁとか思ってた人たちの中に、佐田君が…。


「金髪だったから、気付かなかったよ。」

「そっか!
ほぼ同じ講義に出てると思うんだけど、今日もたぶん同じだと思うよ?

…ほら、俺ここ。」

「あ…」

佐田君が指さしたのは、今から僕が入ろうとしていたところだった。


「なっ!!一緒だったろ?」

「う、うん…」

扉を開けると、僕と佐田君が一緒にいることで周囲が少しざわめいた。

「あ…」

僕といると、佐田君までホモだって思われてしまう。

「どこ座るー?」

「え、えっと…」

僕が返事に迷っていると、前の方に座ってた茶髪の男の人が佐田君を呼んだ。

「おーい佐田、こっち座れよ~!」

「おーう!」

…当然だ。
佐田君は友達といた方がいい。

「冬夜も一緒に…「僕はここに座るよ。」

そう言って僕は後ろの隅っこに座った。

「…なんでだよ、一緒に座ろうぜ?
あ、もしかして人見知り?

俺のダチいいヤツばっかだから心配しなくてもい____」

「いや、僕隅の方が落ち着くしそれに、勉強も頭にはいるから…」

苦しい言い訳。

でも、これでいい。