「佐田君が…側にいてくれたから、かな。」

だから、寂しいなんて…感じるんだ。
タツ君と別れたばかりなのに。
タツ君が好きだったはずなのに。


僕はもう、佐田君のことばかり考えてる。


「ははっ…オカシイのかな、僕…」

これって、好きってこと?
つい一昨日までタツ君が忘れられなかったくせに。


僕はいつだって、


「ホント、都合良すぎだよ___」


そういえば、僕佐田君のことなにも知らない。

ああっ、なんでさっき聞いておかなかったんだ…!

自分のことばかりべらべらと、この馬鹿!!

ケータイ番号もメルアドも聞いてないし、家だって…学科だって!

そもそも同じ大学に通ってるのかすら聞いてないじゃないか!!

「僕はなんってバカなんだ…。」

はぁ、とひとつ、大きなため息を付いた。

佐田君…
どうして僕に声をかけたんだろう。

佐田君なら、その辺の人とすぐに仲良くなって、家に泊めてもらえるのに。

どうして、僕だったんだろう。


「どうして…」


佐田君は、かっこよくて、優しくて、真面目で…。

まあちょっとチャラチャラしてるけどさ?

でも、僕よりずっと完璧な人だ。



そんな人が、どうして僕なんかと…