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「それでね、そのときタツ君が水たまりに突っ込んだの。

もうズボンがびしょびしょで!

一緒に乾かすの、大変だったなぁ~…!」

「………。」

「あ、っごめん、なんか僕だけ…」

「いや、いいんだけど…
さすがにこんなに夜までタツ君を語られるとは思わなくて…((苦笑」

「ごめん、つい…」

そんなに昔のことじゃないのに、今はもうかなわない。

それが分かってるのに、僕はいつまでもタツ君を引きずっている。

でも、佐田君に優しくされて、佐田君と体をつなげて、佐田君しか考えられなくなるときがある。

タツ君と佐田君、僕の中で二つの存在が混ざり合う。


「じゃー、俺そろそろ帰ろっかな!」

「えっ…」

「そんな寂しそうな顔すんなよ!
またくるって~!」

バッ

すぐに鏡を見る。

…そんなに寂しそうな顔してたかな。

「そいじゃーな!」

バタンッ

扉が閉まると、急に静けさが目立つ。

「…この部屋、こんなに広かったっけ。」

静かな部屋に、独り。

この部屋にいるのがどれだけつらいか、一晩で思い知らされてしまった。