「危ないよ。」

「・・・うん。」

「何を見てるの?」

「ずっとみてるだけにすればよかったな。」

君は振り向かない。

「・・・振られちゃった。あおい先輩、彼女いるんだって。」

「うん。・・・知ってた。」

「知ってたなら教えてくれればよかったのに。そういう優しさなら、いらない。」

「ごめん。」

「知ってたら、もっと早く諦められたのかな。」

君の声は震えていた。

「泣いてるの?」

「・・・泣いてない。」

「強がらなくても。」

「だから泣いてないってば。」

君は空を見上げる。