―――数日が経った。




先輩の家に訪れた頃がまるで夢幻のように感じる。




あれ以来、先輩とは話していない。






今更だけど「好きでいさせてください。」とか、先輩からしたら迷惑だよね。



そう思うと大きなため息が出た。






前と変わらず先輩をただ眺めるだけ。


それだけで満足していたのに、今になると少しだけ物足りない。




欲張りだな、私。






「おい、ぼーっとすんな。」




その声と同時に頭に痛みを感じた。



斜め上には先生がいて、私に怒りの矛先を向けている。


そして、片手には分厚い教科書……私を殴ったと思える教科書でもある。