遠くにうっすらと人影が見える。
小走りでこっちに向かてきている。
「ごめんね、待ち合わせの人が来たから切るね。」
「あぁ、風邪ひくなよ。」
最後まで心配をしてくれる言葉がうれしい、けれどこっちに向かってくる先輩に気がとられる。
焦っているはずないのに、小走りしてるから急いでいるように見える。
なんて……きっと私の願望かもしれないけど。
先輩が私のもとにまで来ると、いきなり鼻を掴む。
「うぐっ。」好きな人の前なのに、可愛げのない声だった。
そんな自分に、心の中で溜息が出た。
先輩の表情は少しだけ怒っているようにも見えた。

