ふたりの話している姿を見ると、浮かれた気分がさめていく。
先輩が優しくしているのは店員だからで、そこに特別な感情なんかない。
特別なのはいつだって可愛くて聡明な人って決まっている。
王子様がお姫様を選ぶように、特別な人は決まっている。
ふたりの仲に途中参加の一般人が入り込む隙間なんかない。
優しくされて少し勘違いされてたみたい。
勘違いなんか、馬鹿だよね。
「大丈夫か?」
しばらくすると先輩がやってきて、私に声をかけた。
大丈夫です。そう言おうとしたけど、のどが震えてうまく言えない。
悲しくて、辛くて、如月先輩への嫉妬の感情が頭の中で渦巻く。
いろいろな感情が交差して涙が出てきた。

