「先輩って、先輩って優しいですね。」 思ったことがポロリと口からこぼれる。 先輩はまたクスクス笑いだす。 まるで私を馬鹿にするかのような笑い方だった。 「優しいとか滅多に言われない。」 「あんたおかしい。」 馬鹿にしている言葉なんだろうけど、先輩からかけてもらう言葉がうれしい。 こんなにも先輩と話せるなんて思わなかった。 「しばらく腕冷やしてろよ。」 先輩はそれだけ言うと、店の中に向かった。 店の様子が大きな扉のガラスを通して見える。 先輩は私が居た席に向かい、如月先輩と話している。