あとがきまで読んで、本を閉じた。
あ。
そういえば先生のこと忘れてた!
先生の様子を見ると、わたしが読み終わったことも気付かずに、真剣な顔で本を読んでいる。
何を読んでいるんだろう?
「源氏……物語?」
顔の前に本を持ってきて読んでいるので、表紙や背表紙が見えた。
和風の華やかな本だ。
視線に気づいたのか、先生がわたしを見た。
「読み終わったのか?」
「はい。子供向けとは思えないくらい面白かったです!」
「そうか、それは良かった」
笑った?
先生の口の端は微かに上がっている。
「あ!」
突然、先生が大きな声を出して立ち上がった。
「どうしたんですか?」
「虹!」
「え」
振り返って窓の外を見ると、
いつの間にか雨が上がっていて、空には虹がかかっていた。