卯月 色付く花飾り
空を染める 薄い絹衣…


君は前と同じく そこに立っていた
咲羅色の花弁を辺りに散らせ
それでも麗しいその姿
あれから 幾つの時がたったのだろう
君を此処に閉じ込めてから


恨んではいないか?
憎んではいないか?
ひび割れる 僕の心
揺れる 君
優しい君の香りが僕を包む


―‐大丈夫よ。
儚い君の声は 鶯の唄にかき消されて


見つめる 僕
震える 君
そんなにも 散り急ぐのは何故?


―‐また、逢いましょう木々のざわめきで僕は知った
嗚呼、もう君の季節が終わってしまう
花弁を拾い 空へと放る


どうか 咎めないで
とうか 消えないで
君の季節 君の余韻


散る 徒桜


香る 君の魂



**********************・鶯(うぐいす)
・徒桜(あだざくら)
・魂(こころ)

徒桜は、散り急ぐ桜のこと。どんなにも遠く離れていても、二人は『春』という季節で、繋がっています。
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