「美紗、好き」

「‥私はきらい」

「本当に?」

「‥‥‥すき」

不毛なやり取りを幾度と繰り返している間、私たちは抱き合ったまま姿勢を変えなかった。


「ちゅーは?」

「それはまだ駄目」

「ちぇ」

対して残念そうでもなく笑う先輩はやはりかっこよくて。


「昨日が初めましてだったのに」

「一目惚れに期間とか関係ねーし」

たった一日なのに、なんでこんな好きになっちゃったんだろ。

「もっと夢中にさせてみせるからな!」

もう既に夢中だと言えたら楽だけど、素直じゃない嘘つきな私は。


「‥ありえない」


神様、どうか私を素直にして下さい。