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「行くぞ」








愛しい声がそう告げたのは、午前11時のことだった








「へ?」






さっき目覚めたばかりの私はすぐに理解出来ずにマヌケな声を漏らす








「出かける」







「……うん」








「お前も行くんだよ」








「え?」







「ついでにそいつらもな」







そう言って悠雅が向けた視線の先には、穏やかな顔つきで寝ている悠奈(ゆうな)と真緒(まお)








この2人を連れていくって…


あのベビーカーを押せっていうの?


あの目立つ双子用のベビーカーを?


散歩以外で?










うーんと首を傾げる私に悠雅はため息をついた








「車だ」







「うん?」







「車で行くからベビーカーは押さなくていいぞ」







「……そうなんだ……って
何で考えてること分かるのよ」







「お前が何考えてるかなんてすぐ分かんだよ」







「…う~…」







にやりと笑う悠雅に不満を抱きながらも渋々着替えに行く







でも







「あれ?」







「どうした?」







「ブラが…とれない」







「あ?」







何か変なところに引っかかってしまったブラのホックが取れなくなってしまったのだ







必死に手を動かすも背中の後ろまで目が届くはずもなく、なかなか取ることが出来ない







「澪、こっち来い」







「絶対嫌!!」







「お前の裸なんて見慣れてる」







「そういう問題じゃないの!」







悠雅に大声で答えながら必死に手を動かす







「澪」







「えっ…ちょ」







だから悠雅がすぐ後ろまで迫ってきていることに気づかなかった









「きゃあっ」






ぐっと腕を捕まれ、すぐ側にあったソファーに放り投げられる








ギシッ





「…え…」









「後ろ向け」







「なっ…何言って…」







かぁっと熱くなる身体






こんな風に迫られるのは久しぶりかもしれない








「…っ」







悠雅の顔がゆっくりと近づいてきたと思えば、耳元にそっと口が寄せられる











「脱がせてやるっつってんだ」









「…~っ!!」










熱い




囁かれた耳元が





身体が






大きな手が支えている腰あたりからじわじわと熱を持ってくる









「…ふっ」








ゆっくりと優しく重ねられた唇が私から酸素を奪う