「澪ちゃん」
「……奏さん」
向こうから歩いてきた奏さんはスーツに着替えていて、それはそれはカッコよかった
「なんか…奏さんがスーツきてるなんて変な感じ…」
…いつもラフな格好だし
「似合ってない?」
「いえ…すごくカッコいいですよ」
「澪ちゃんにそう言われたら嬉しいね」
私の隣に並んだ奏さん
お父さん…というよりお兄ちゃんみたいな存在だった
悠雅と同棲するようになってから会う機会が減ってしまったけど、奏さんの柔らかい空気は変わらず久しぶりに会った今でも家族のように話せる
「もうすぐですのでご準備を」
そう言われて隣を見ると
「あーあ、悔しーな」
そう言いながら奏さんが腕を差し出してくれた
「悔しい?」
「悠雅に澪ちゃんを渡すのがね」
「……奏さん」
そっと差し出された腕に手を絡めると、柔らかく微笑まれた
「私、奏さんのこと大好きですよ」
「!?」
「何でもできる奏さんのこと、尊敬してました。
それとこんな私の面倒をみてくれて、いつも優しくしてくれて…感謝でいっぱいです。」
「……」
「これからも今までと変わりなく」
「…澪ちゃん
『大好き』なんて言われたら悠雅に何されるか分からないけど…
ありがとうな。
俺のアパートはいつでも空いてるから、悠雅と喧嘩した時はいつでも来いよ」
ふふっと笑いが漏れると奏さんの大きな手が頭を撫でた
『新婦の入場です』
ゆっくりと開かれる目の前の扉
その先には、バージンロードが真っ直ぐに
愛しいあなたの元へと続いていた

