「奏さん…」
「ん?」
「私……
今、世界で誰よりも幸せだと思う」
そっと一人の子の頬に手を当てて呟く
私の手が触れたことで
「…ふっ」
ピクリと反応する赤ちゃん
「そんなに幸せだったら怖いものなんてないね」
「…そうかも」
今なら私、何にでもなれる気がする
幼い頃の興から痛めつけられていた孤独な毎日
あの頃の自分に教えてあげたい
『貴方は誰よりも幸せになるのよ』と
部屋に微かに流れている、オルゴールの優しい音楽が優しい気持ちにさせてくれる
……あの時人生を諦めなくて良かった
……全てを捨てなくて良かった
……もう1度誰かを信じれてよかった
コンコンッ
不意に鳴り響くノック音
その音と共に
「それじゃあ僕は退散するよ」
奏さんは別の扉から部屋を出ていく
「……どうぞ」
小さな小さな精一杯の声
そして開かれる真っ白な扉
「ふっ…〜っ」
「何もう泣いてんだ」
それ、さっき私が奏さんに言ったセリフなのに
「澪」
優しく優しく響く声
いつの間にかそばにいた女性スタッフ達もいなくなっている
「やべぇ…」
「……〜っ……へ?」
気のせいか、頬をほんのり染めながら呟いた悠雅を涙を必死に堪えながら見つめる
「その格好はダメだな…」
するといつもの自信がまったく感じられないような、小さな声が返ってくる
「……へ…変…かな?」
“ダメ”って言われたら傷つくな…
悠雅のために選んだのに…

