「スピーチだよ。

相楽に任せたんだって?」






……あぁ、そのこと








「そうですよ。
相楽がやりたいと言ってくれて…ふふっ」








…なんでもその場で伝えたいことがあるとか…





お願いされた時の真剣な顔を思い出し笑ってしまう









「ふぅん。あの相楽が…

余計なこと言わないといいけどなぁ〜」









「奏さん、蒼と全く同じこと言ってますよ」







「まじかよ〜」








……さすが兄弟







数日前蒼の口から漏れたのは







『相楽にスピーチなんて出来るんですか?

変な事を言わないで欲しいものですね。』








という呆れたような言葉だった








『黙っとけ蒼!俺だってスピーチぐらい出来るからな?』








……その言葉に相楽がムキになってたっけ








「瀬織様」







「…はっ…はい!」









数日前までのことを思い出していると突然名前を呼ばれる








「お子様のお着替えも終わりましたよ」







「っっ」









“お子様”








それは間違えなく3ヵ月程前に産まれた私と悠雅の赤ちゃん









「こちらです」








「……」









ドクドクとうるさい心臓を抑えながらまた別の部屋に案内されると









「……っ~~っ」





「すごいな……天使だ…」







美しく愛らしい顔で眠る双子が、可愛らしい衣装を着ていた