「お綺麗です」






そういってニコッと微笑んでくれる優しそうな女性に照れたように微笑み返すと








コンコンっ







ドアがノックされた








「どうぞ」








入ってくるのが誰かは分かっていた私は、すぐに返事をする









「澪ちゃん……」










ドアの向こうから現れた奏さんは目を見開いてうるうると涙ぐみ始めるから












「…早いですよ」








そう言うと、ゆっくり近づいてきて









「俺、後で悠雅に殴られるな…絶対」













私を上から下までじっくりと眺めた










「…変ですか?」











女の子の夢であろう衣装を着ても、自分が似合ってるのか正直わからない










緊張で心臓が飛び出しそうで判断出来ないの…












「似合ってるっていうか…



もう怖すぎるくらい綺麗だね…」












そんなことを奏さんは真顔で言うものだから











「ふっ」









その顔がおかしすぎて少し緊張が解れた









「幸せだな…悠雅はこんな綺麗な女の子貰えて」









「声が涙声になってますよ」











「だめだよ。止めようとしても涙が止まらないよ」










「だから早すぎますよ」












私まで泣きそうになるからやめてほしい





せっかくお化粧してもらったのに…










「それにしても…ほんとに良いのか?澪ちゃん」







「何がです?」










顔を上げた奏さんを見て、背中に置いてあげていた手を下ろす