「お前、俺の言ったこと忘れてるだろ」
そういう悠雅の顔は怪しく微笑んでいて
「っっ!!」
倉庫で言われた言葉を思い出した私はきっと真っ赤に頬を染めていたに違いない
「悠雅、澪ちゃんをからかわないの!!」
「うるせぇ
コイツは俺のだ。お前にどうこう言われる筋合いなんて1mmもねぇ」
「ほんっとに可愛くないっっ!!」
また言い合いが始まりそうだったので私は食事に手を伸ばした
そんな私を見て
「澪ちゃん、悠雅とはどうだい?
あんな息子だが、うまくやってるか?」
お父さんが話しかけてくる
「………はい。
本当にいつも助けられています。
悠雅は強くてクールで、冷たく見られてしまう所もあるけど優しくて
本当に一緒にいて安心するんです」
正直に真面目に答えた
お父さんの質問が私を試すテストだとしても嘘はつかない
本当に心から思っていることを話すまで
……おそるおそる顔を上げると
「……悠雅は女性を見る目だけはあるんだな」
口に弧を描き穏やかな表情で
組長とは思えないほどの柔らかい空気を纏っていた
「……あの…」
その言葉の意味を確認しようとすると
ふふっと少しだけ笑われ
「でもね…澪ちゃん
悠雅が優しいっていうのは、君だけだと思うよ?」
少し可笑しそうに突っ込まれた
「……え?
優しいですよ?普通に」
「う〜ん。多分それを裏の業界の人達に伝えると皆腰を抜かすくらい驚くだろうね。
なんせ本人は知らないと思うけど、裏の大人の間ではアイツは『黒凪』ともう一つ
『冷黒』
って呼ばれてるからね」

